ボトムズ脳になりかけている男が、独断と偏見で『装甲騎兵ボトムズ』劇中内用語について語ったり語らなかったり、アストラギウス銀河の世界観に関して妄想をぶちまけたりするWiki。

概要〜超えられない壁なんてない〜

2010年にイベント上映され、2011年にソフトとして発売されたOVA。タイトルにボトムズとはつくが、装甲騎兵ボトムズシリーズの舞台のアストラギウス銀河とはまた別のパラレルワールドと思われる世界*1を舞台にした異色作。監督はペールゼン・ファイルズなどで作画監督を勤めた重田敦司氏。
元となった『装甲騎兵ボトムズ』とは逆で、割と素直で時に熱い青年を主人公に据えた冒険活劇ではあるが、登場するメカの『アルトロ』(At)がボトムズのATを踏襲したような『人間の体長のだいたい二倍くらいで数多のギミックを備えた二足歩行機械』であるのは当然として、結構細かいところでボトムズを感じさせる要素が多い。
メカニックは基本的に(ペールゼン・ファイルズ以降のボトムズと同じく)CGで描写されるが、幻影篇?孤影再びよりも陰影が少なく、よりアニメ調の強い表現となっている。

あらすじ

谷の底『ボトムズ』と、その上層にある『トプ』に分かたれた世界。
その身のこなしから『タンブラー』(曲芸師)の二つ名を持つが、暇さえあればボトムズの底から空を眺めるような、夢見がちなアルトロ乗りのアキ。彼は幼なじみの女・エイビィとともに、時折古アルトロの発掘現場にやってくる「シロアリ」を退治する『用心棒』の仕事をつとめている。
彼はある日、トプからやってきたレッシングという男から、誘拐されたある令嬢の救出に協力するよう要請される。トプの人間からの思わぬ依頼に舞い上がるアキだったが、『誘拐犯』ディアハルトと対決したのち、味方だったはずのトプのアルトロから攻撃を受ける。そして誘拐犯のディアハルトから助けられたのに、激しく抵抗しながら連れ去られる令嬢…
戦闘後、アキと対峙したディアハルトは怒りとともに語る。実は、レッシングこそが令嬢の誘拐犯だったのだ、と。彼は単身令嬢の救出に向かおうとするが、アキは令嬢に対する責任からディアハルトに随伴を申し出て、彼はしぶしぶ了承する。
アルトロに乗り込み、ボトムズからトプへ向かってそそり立つ崖を登りはじめる二人。そして文句を言いつつもその後を追うエイビィ。三人は令嬢救出作戦を無事に成功できるのか…?

登場人物

  • アキ・テスノ
    • 主人公。ボトムズのアルトロ採掘場で『シロアリ』退治の用心棒をしている。年齢は不明だが、「どうして大人はみんな(トプに)縁が無いって言うの」というセリフから、成人はしていないよう。
    • 髪は暗いネイビーブルーで、瞳は赤。頭にはガイコツ柄のバンダナを巻いている(ラストシーンではつけていない)。暗いオレンジ色のズボンは、どことなく「赤い耐圧服」を彷彿とさせる。
    • アルトロの操縦の腕は確かで『タンブラー』(曲芸師・軽業師)の異名を持つ
    • 暇なときにはボトムズの底から空を見上げ、トプに思いを馳せる夢見がちなところがある。しかしトプに行ってどうしたいのか、なぜトプに憧れるのかはアキ自身にもはっきりわかっておらず、「体がムズムズするっつうか、腕がうずくっつうか」と表現している。
      • またスウィニー卿令嬢の名前を勝手に「サンドリヨン」と予想するよう(エイビィ曰わく乙女趣味)なところもある。
    • そこそこかわいい幼なじみ・エイビィがいるのに、彼女のほうはあまり向かず、あくまで(口うるさい)相棒、ただの幼なじみとしてしか見ていないようである
    • 乗機はマティオンタイプaIIのカスタム。
    • はじめこそヘマをこいてしまうが、トプの基地内の戦闘では『曲芸師』の名に恥じない機動で危機を回避する(ただそれでも彼的には失敗したらしい)。
    • ラストで令嬢の名前を聞いたとき『懐かしい』と口走るが、彼女と何か因縁があるのかは不明
  • エイビィ
    • 主人公の幼なじみにして仕事上の相棒。アツめで夢見がちキャラのアキとは反対に現実的(ある意味堅実)。
    • 髪は暗めの赤いショートカット。胸の谷間が見える程度に胸元の開いた、明るめのオレンジ色のつなぎを着ている。
    • 夢見がちなアキを随分からかったりもするし、アキとディアハルトのスウィニー卿令嬢救出作戦には後を追いつつ『ついていけないッ』といった雰囲気も見せるが、終始ナイスなアシストを見せる。苦労人だなぁ…
    • どことなくアキに気があるようなところもある…?
    • 乗機はマティオンタイプdIIIのカスタム。スコープドッグっぽい色合い。胸部にサーチライトが一対ある。
  • ディアハルト・グリューニリッヒ
    • スウィニー卿令嬢を誘拐した犯人…だと思った?残念実は彼女を誘拐の危機から助けて匿っていたスウィニー卿の秘書でした。
    • 容姿端麗すなわちイケメン。あとなんとなく前髪がキリコに似てるような気がしなくもない。
    • はじめはレッシングの口車に乗せられて誘拐に荷担したアキに対してつらめにあたっていたが、スウィニー卿令嬢救出のために共闘する中でアキの能力の高さを確信し、アキを身を挺して庇うほどの信頼関係を結ぶ。
    • 従軍経験あり。軍隊時代の上官はレッシングで、その評価は『ホープだったが詰めが甘い』。また戦闘中にレッシングから「貴様も私から見ればボトムズだ」と言われているが、その真意は不明で、ディアハルトの出自がボトムズにあるのかどうかも不明。
    • 乗機はカスタマイズされたクニグフト『ビルアーク クニグフト』。両肩からアンカーのようなものを射出し、スウィニー卿令嬢を追跡するためのセンサを積んでいた。
    • ラストで救出された令嬢とがっちり抱き合っているのでただならぬ仲…?
  • ジョゼ・レッシング
    • トプから仕事を依頼にボトムズへやってきた男。トプの統治議会議員・ビルドの秘書(アキに身分を説明したときには『早口言葉…?』と言われた)。
    • 誘拐されたスウィニー卿の令嬢をボトムズの『島』から救い出してほしいと依頼してくるが、真の誘拐犯はこいつで、ディアハルトにより阻止されたスウィニー卿令嬢の誘拐を成就したいがために『島』に詳しいアキに仕事を頼んだのが真実。
      • 令嬢を誘拐したのは、(ビルド議員の政敵である)スウィニー卿から議長の座を奪う政治工作に使うつもりだったのでは、とディアハルトは見ている
    • アキをだまくらかしてスウィニー卿令嬢をかっさらったように、非常に狡猾で尊大。ボトムズに対する差別意識ももちろん標準装備で、アキと握手したあと手袋を捨てたり、ボトムズを下賤と言い放ったりする。端的に言うと『イヤな奴』。
    • 乗機のクニグフトは目つきが悪く、両肩に大型ミサイルを一基ずつ装備。
  • ダバルド
    • アルトロ採掘場を営む爺さん。
    • 若い頃トプに到達したことがあるらしく、劇中でアキからトプの話をしてくれとせがまれる。
    • ちなみに中の人はカン・ユー?ワップ?ニーバ?と同じ広瀬さん。だがキャラ的には180度逆。
  • メルインガル
    • アルトロの修理を手がける女。大人の女の雰囲気をもつクールな面持ちの女性。
    • トプに対しては『(ボトムズの人間には)縁がない』とするも、アキのトプへの憧れを『知らない世界や人への「むすびつき」を欲しているのでは』と理解している。
  • スウィニー卿令嬢
    • トプの統治議会議長の令嬢。政治工作のために政敵のレッシングにより誘拐されたところを秘書のディアハルトにより保護され、ボトムズに逃れていたが、ボトムズの人間(アキ)をだまくらかして手先にしたレッシングにより再び誘拐されてしまう。金髪の前髪ぱっつんの見目麗しいお嬢様。
    • 誘拐時にカプセルにぶち込まれるが、前髪ぱっつんでカプセルとはこれいかに
    • アキは名前を勝手に予想して『サンドリヨン』と呼んでいたが、本名は…

用語

  • ボトムズ
    • アキたちか住む世界の、大地に穿たれた深い谷の底を指す言葉。また、そこに住む人々のことも指す。
    • 地底にはアルトロが多数埋まっており、ボトムズの人間はアルトロの採掘を生業にする者が多いよう。
    • 谷の上に住むトプの人間にとって、ボトムズの人間は賤民。
    • ボトムズからトプへと上ってゆく人は一応それなりにいるらしく、ダバルド爺さんが言うにはボトムズからトプに移り住んだり、移り住んだ後ボトムズに戻る人もいたらしい。
    • 50年で、ボトムズからトプに登ろうとした者のうち6人が転落しているという
  • トプ
    • ボトムズより上の大地のこと。またそこに住む人々のことも指す。都の灯りは煌々としており、『統治議会』なる統治機構や警察も存在する。
    • トプのアルトロがボトムズのアルトロよりも未来的な機構を備えていたり、飛行機などの『空を飛ぶ』技術がトプにしか存在しなかったり、アルトロのパイロットスーツが降機したあとモーフィングしたりなど、トプはボトムズより技術力が高い。
      • なお、トプで作られたらしい令嬢探知装置(ファインダー)は、トプのアルトロだけでなくボトムズのアルトロにも自動対応できるようになっていた。
    • なお、ラストの全景ではトプの向こうに上層、もしくは壁のように別の地が存在しているような描写がされている。
      • たしかDVDのコメンタリで監督が『舞台はスペースコロニーのような場所』と言ってたような…(いまDVDが手元にないので確認できないが)
  • アルトロ(At)
    • ボトムズファインダー世界の二足歩行機械で、言うまでもなく『装甲騎兵ボトムズ』のATにあたる機械。
      • 正式名称は『Armored Trooperoid』(装甲騎兵のようなもの)で、アルファベットでの略はAt(tが小文字)。作品のロゴにも『Armored Trooperoid』の文字があしらわれている。
    • ほぼATと同じくらいのサイズ感で、なおかつみなターレットレンズのように回転する光学センサとローラーダッシュ機能を有し、センサの情報などはATよろしく搭乗者のかけたバイザに表示される
    • ボトムズ側の機体はボトムズから採掘されるアルトロを改造した『マティオンタイプ』がメインで、トプの機体はそれとは別のテクノロジーが用いられた『クニグフト』がメイン。
      • なお、劇中ではマティオンタイプやクニグフトの名称は登場しない
    • マティオンタイプ、クニグフトともにAT的な記号を持ち合わせるものの、フォルムは全体的に未来的。
  • シロアリ
    • ボトムズの両側の崖から時々現れてアルトロ採掘を妨害する、巨大な外骨格型の生命体(のようなもの?)。
    • 名前の通り体色は白い。そしてアリとは思えないくらい大きい。しかも飛行能力がある。\アリだー!/
      • 強力な顎を持ち、口の中にはおろし金のような形状の黒く細かい歯が一面に生えている。
      • 後頭部に急所がある。劇中ではアキがレッグアンカーを使い急所を撃ち抜こうとするが、位置が前すぎて失敗。
    • ボトムズのアルトロ採掘にとっては障害らしく、わざわざアキやエイビィのような『用心棒』が雇われるくらい厄介な存在のよう。
    • 実際劇中では大型(大きさにして前日比三倍)のシロアリの襲撃により、採掘したアルトロ用の運搬車両が破壊され収穫が目減りしている。
    • 冒頭でアキが苦戦した「アキのアルトロの脚が刺さったままの大型シロアリ」は劇中で三度登場し、それなりに重要な要素となっている。
    • シロアリは崖の中にトンネルを掘っており、中には地表(トプ)へ通じるものもあるが、崖内トンネルの地図などはない。
  • 『島』
    • アキたちの住むところにある、工場か何かのプラットフォームのような建物。
    • ディアハルトは令嬢とともにこの建物に身を隠していた。レッシングはアキが『島』の内部構造に詳しいという情報を元にアキに(本来の目的を隠し)仕事を依頼した。
    • 中には打ち捨てられた機械類が散乱しており入り組んでいるが、アキは自分しかしらない近道や唯一の水場の場所を知っていた。結果依頼された仕事を(だまくらかされてるとはつゆ知らず)やりおおせる。
    • 『島』には一部スコープドッグの頭部のようなデザインの塔が存在する。
    • スコープドッグっぽい塔などから、CRIMSON EYES?の一話に現れる『ボトムズ山』にそこはかとなく似ている

メカニック

  • ボトムズのアルトロ(マティオンタイプ)
    • ボトムズの人間が乗るアルトロ。丸っこいフォルムだが線は多く、どことなくスポーティな印象を受ける
    • 基本的にボトムズのアルトロ乗りは、発掘されたアルトロをカスタマイズしているよう。
    • マティオンタイプはかなり『装甲騎兵ボトムズ』のATの記号を多く有する。アキ機、エイビィ機ともに回転式センサはスコープドッグのように三つそれぞれ異なる外見を持つ。なお回転式センサのうちひとつはサーチライトとして(も?)動作する。
      • アキ機やエイビィ機の回転式センサにはアストラギウス銀河の文字ではなく地球と同じアルファベットで『ARMORED TROOPEROID』と書かれたマーキングがある
    • また、スコープドッグのようにセンサ部分を跳ね上げて有視界モードにすることも可能。なお有視界モードは搭乗者のバイザーの上げ下げに連動しているような描写がある(バイザを装着したまま有視界モードにしているシーンもある)。
      • ちなみにバイザーはアキが左右一体型、エイビィが左右分離型(ネックバンド式)。
    • アキ機は白地に差し色として水色やダークグリーン、エイビィ機はモスグリーン地に差し色として水色に近い白やオレンジ、という色合い。
    • 脚部にはターンピックを大型化したような『レッグアンカー』を装備し、ジャンプ時や脚部固定時に使われる。またマニピュレータをワイヤーアンカのように射出する『ワイヤーアーム』を装備。そのほかニースマッシュ時に膝の装甲がアームパンチよろしく伸びる(!!!)という機構もある。
    • そのほか、着地に失敗したときのためにエアバッグを装備している(劇中での描写を見るに使い捨てで、後述のカートリッジのガスを使って作動させているよう)。背部だけを保護する場合もあれば、Atの全身をくるむように展開する場合も。エアバッグは機体外だけでなく、コクピットにもパイロットの頭部保護用に装備されている。
    • マティオンタイプは武装や各種機構を圧縮ガスカートリッジで作動させており、カートリッジは円盤型のドラムマガジンの中に詰め込まれている。ドラムマガジンはアルトロの全身にあるハードポイントに装着されている。
    • カートリッジひとつひとつの圧縮ガスは弾頭を兼ねていることもあり、アキのアルトロ対ディアハルトのアルトロ戦でアキのドラムマガジンが直撃を受けたときにはすさまじい爆発が乗じている。またトプの電波妨害用アンテナを破壊する際には、アキのアルトロが装備していた(かつその直前に使い物にならなくなった)ライフルのドラムマガジンをディアハルトに撃たせることで破壊させている
    • 劇中でアキ機やエイビィ機が使用しているライフルは、細めのパイプを組み合わせたようなやや単純な形状をしておいる。劇中では転倒したときの衝撃でアキのライフルがぐにゃりと曲がってしまい、使い物にならなくなる描写すらある。
      • ライフルは、カートリッジそのものを別のカートリッジのガス圧で打ち出す仕組みとなっている(すなわち、一発撃つごとにドラムマガジン内のカートリッジを二つ消費する)。
      • カートリッジの圧縮ガスは劇中では青白い煙で表現されている。
  • トプのアルトロ(クニグフト)
    • トプで一般的なアルトロ。マティオンタイプが丸っこいのに対し、やや鋭角な部分の目立つデザイン。
    • 光学センサは同じく回転式だが、マティオンタイプのアキ機やエイビィ機とは異なりセンサごとの外見の差はない。
      • 光学センサの形状はディアハルト機(ビルアーク)が細長いスリット状、一般機が三角、警察仕様が正方形に近い四角、レッシング機がアクセント付きでつぶれた三角。
    • 肩部に三つの射出口もしくはハードポイントを備えており、刺又の先のようなアンカーやチェーンミサイルなどを射出可能。
    • マティオンタイプと同じくローラーダッシュが可能だが、ローラーダッシュ用の履帯が変形してクローになったりする。
      • ディアハルト機や警察アルトロの射出するアンカーや拘束具も同じような機構を使っているよう。また令嬢を納めたカプセルを固定するワイヤやカプセルを運搬していた車のタイヤも、同じような要素により構成されている。
    • マティオンタイプがバイザー経由で情報を表示するのに対して、クニグフト(少なくともディアハルト機とレッシング機について)はコクピット内に光学センサからの映像や情報が直接投影される全天スクリーンになっている
    • 武装として楔型のライフルを装備している。ボトムズのAtのガスカートリッジ弾とは異なり、ごく小型のロケット弾のようなものを発射している。
      • 警察Atのライフルはアンカーをライフルの先で展開し、そのまま刺又のように使える。
    • メルインガルによると『あたしらにはメインシステムは手に負えない』のだそう。
      • しかし冒頭ではボトムズのシロアリの巣の奥にクニグフトに似ている朽ちたアルトロがある。トプから遣わされたクニグフトがシロアリに破壊され放棄された可能性もあるが、他の発掘アルトロと同じく初めからそこにあったものであるなら、クニグフトもマティオンタイプと同じく、ボトムズで発掘されたアルトロの修復品である可能性もある(逆にトプでマティオンタイプが運用されている可能性も?)

余談

エンドロールの「CGアニメーションチーフ」の中のうち一人、および「エンディング・グラフィックス」のスタッフに「尾本 達紀」という名前の人物がいるが、後に「けものフレンズ」(1期)で名を馳せた「たつき」氏であるようだ。実際、たつき氏が監督を務めたアニメーションシリーズ「ケムリクサ」のEDにおいて、同じ「尾本 達紀」氏がクレジットされている(なぜ「たつき」名義でないのかは謎だが、ここはボトムズのWikiなのでこれ以上は触れないでおく)。

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