ボトムズ脳になりかけている男が、独断と偏見で『装甲騎兵ボトムズ』劇中内用語について語ったり語らなかったり、アストラギウス銀河の世界観に関して妄想をぶちまけたりするWiki。

概要

『装甲騎兵ボトムズ外伝 無防備都市』は、『機甲猟兵メロウリンク』の登場人物、キャラダイン?を主人公に据えた外伝漫画。『装甲騎兵ボトムズ外伝』とあるが、どちらかというとその外伝たる『機甲猟兵メロウリンク』の前日譚、という位置付けに近い。
ストーリー原案(シナリオ)は、『メロウリンク』にも脚本で関わっていた山口宏氏。作画は柴田文明氏。

あらすじ

ある『街』で働くメルキア軍情報将校、キーク・キャラダイン中尉。彼のもとに、かつて捜査を担当した戦犯・ベラック元大尉がドッパー軍刑務所から脱獄し、復讐のためにキャラダインを狙っているという噂が届く。
直後、キャラダインはベラックの妹を名乗る少女・ソミリアと出会い、彼女から『(さらなる被害を及ぼす前に)兄を殺す』よう嘆願される。
脱獄したベラックは、既にキャラダインのいる街にたどり着いていた。ATを駆り、襲いかかるものを次々と退けるベラック。逃げようと画策していたキャラダインだったが、ベラックの猛攻に逃げることはままならないと悟り、やむを得ず彼と対峙する。狂犬の如く鉄騎兵を駆るベラックと、銃しか持たないキャラダイン。彼らの勝負の行方は…?

登場人物

  • キーク・キャラダイン
    • メルキア軍の情報将校。前述のとおり機甲猟兵メロウリンクでも重要なキャラクタとして登場していたが、『無防備都市』では主人公をつとめる。
    • 『メロウリンク』ではメルキア軍の制服を着ていなかったが、本作では一貫してメルキア軍の制服姿。
    • 劇中では自分を『軍事訓練も受けていないただの情報屋』と語っているが、『9mm弾の拳銃でスコープドッグのターレットのうち一番小さいレンズを破壊する』というキリコびっくりの凄まじい芸当を見せる。
    • 『メロウリンク』のとき同様バッテンタイン?の手下として動いている。そのため上官からも眼の上のタンコブ扱いされる。
  • ベラック
    • 元第18メルキア方面軍ローデンガルフ機甲大隊所属。階級は大尉だった。ベラックは苗字であり、ファーストネームは不明。
    • パルミス戦役では『パルミスの黒い狼』の二つ名がつくほどの活躍を見せたが、自軍撤退の捨て駒にされてしまう。彼は過酷な撤退戦を生き残るが、(劇中の描写からすると、恐らく上官殺しで)ドッパー軍刑務所に収監される。しかし脱獄し、捜査を担当したキャラダインに復讐するために『街』を訪れる。
    • 街で暴走族からATを奪い改造し、停電(彼が意図的に起こした可能性あり)に乗じてキャラダインを追い詰める。パルミス戦役では単騎での行動がほとんどだったようで、さらに都市戦闘にも相当通じているためか、『街』でのAT戦では武装警察の特車隊を一人で全滅させるほどの猛威を振るう。
    • まだ戦争は続いている、という狂気に取り付かれており、立ちはだかる人や物を誰彼構わずバララント兵やバララントATと見做す。ソミィ曰く『超一級の狂った殺人鬼』。
    • 携行している拳銃はアーマーマグナム?
    • 妹であるソミィを殺そうとしたが、なぜ殺そうとしたのかは明らかでない。
  • ソミリア
    • ベラックの妹。フルネームはソミリア・ベラック。あだ名はソミィ。
    • ベラックの唯一の肉親だが、兄のこれ以上の凶行を止めるため、その抹殺をキャラダインに嘆願する。
    • 本人曰くベラックに『一度殺された』とのこと。劇中でも脱獄後ベラックが彼女のもとを訪れる描写と、彼女の首を絞めている描写がある。
  • 中佐
    • 『街』の軍情報局(情報部)オフィスにおけるキャラダインの上官。名前は不明。
    • バッテンタイン中将の手下である上に各種規定にしたがわないキャラダインに翻弄される。
    • 爪をかむ癖があり、劇中二度ほどコーヒーを熱がる(これも癖?)。
    • 秘書らしき美人の部下がいる(が、彼女はキャラダインのほうが気になる模様)
  • バッテンタイン?
    • 劇中の通信で一度だけ登場。プランバンドール機甲大隊の話をしており、(その会話の内容の全ては不明であるものの)これが恐らく機甲猟兵メロウリンクにつながると思われる。
  • 武装警察
    • 舞台の『街』の警察組織のようなもの。
    • 初動ではベラックの駆るATには対処できず、軍情報部から流された情報をもとにベラックを奇襲しようとしたものの気圧されてしまう
  • 暴走族
    • 『街』でダング?やATを使って狼藉をはたらくが、ベラックにATを奪われる。
    • 中に一人死姦趣味者がいる模様(うへぇ)。

舞台と背景

舞台の街について

名称は不明。
ウドなどと同じくクレータ内に作られた地下都市のよう。その天井部分には百年戦争時の宇宙船の残骸が転がっており、時折落下し死傷者を出す。残骸の撤去は遅々として進まないよう。
街並みは、ビルと看板がひしめき、たまにヨーロッパの古い建物のようなビルも存在するという、香港を思わせるような情報量の多い景観。キャラダインはクラシカルな街並みの一角のアパートに住んでいる。
警察組織の名前が『武装警察』で(しかもいつもは威張りくさってるらしい)、また暴走族がダング?を乗り回すあたりはウド?を彷彿とさせる。
よく停電が起きるが、ベラックは停電に乗じてキャラダイン襲撃を敢行する。
情報部オフィス
ギルガメス軍は情報部(情報局とも)のオフィスをこの街に構えている。オフィスは古びた雑居ビルの一区画にあり、オフィスに立ち入るには、情報部所属者の身元やオフィスの所在が特定されないよう規定に従う必要がある…が、キャラダインはしばしばその規定を全く無視するらしく、そのためオフィスを引き払う必要に迫られていた(ちなみに最終的にベラック襲撃に伴う武装警察への情報提供が、オフィス引き払いの決定打となったようだ)。
軍情報部のオフィスがあることは『街』の市政にも秘匿扱いとなっている。

パルミス戦役と『黒い狼』の悲劇

惑星パルミスはバララントの重要拠点であったが、そこにギルガメスが奇襲をかけたことからパルミス戦役は始まったという(期間は7201〜7206年)。
ギルガメス軍がパルミスからの撤退を決めた時点では、ギルガメス軍は戦いを有利に進めていたという。この不可解な撤退において、パルミスで『黒い狼』として名を馳せたはずのベラック大尉は捨て駒にされた。ベラック大尉は過酷な撤退戦から生還したものの、軍のために命を懸けたベラック大尉はそれ故罪を犯すこととなった。
この悲劇は、どことなく『プランバンドール・スキャンダル?』で汚名を着せられたというシュエップス小隊?の悲劇を思わせる。

備考

  • 時期は明言されてはいないが、機甲猟兵メロウリンクの前日譚とすると、7213年9月(メロウリンク?によるザキ基地襲撃)よりは前になる。また劇中の『また戦争が始まったんじゃ』といったセリフから、終戦(7213年7月ごろ)よりは後。
  • 劇中でキャラダインとバッテンタインがやりとりするのに使ったのは『REN通信』とされている。REN通信は『高価』であるようだが、詳細は不明。恐らくは秘匿性の高い通信方式ではないか。
  • ベラックの駆る改造ATは、追加武装を制御するためにか、キリコがウドで使った重武装機(レッドショルダーカスタム)と同じくコントロールボックスを背負っている
  • 『APポリゴン液』という可燃性の液体が登場するシーンがあるが、こちらも詳細は不明。液体火薬か、もしくはPRLに相当するもの(か、PRLの原料になるような溶液?)ではなかろうか。
  • 市街地に『ペンタックス』や『ケンタッキーフライドチキン』と読める看板が存在する(ただし一部隠れている)
  • 劇中で『ネドキア』と『デニグン』という地名が登場し、キャラダインはソミィをネドキアまで送っていこうかと提案する。
  • 山口宏氏のあとがきによると、タイトルの『無防備都市』は(同名の映画ではなく)ムーンライダーズの曲名から取られているとのこと。またベラック兄妹の苗字は『レイダース』(インディ・ジョーンズシリーズ)の登場人物から取られているらしい。由来は恐らく『レイダース』の主人公インディアナ・ジョーンズのライバル役の『ルネ・ベロック』(Rene Belloq)ではなかろうか。

解説と考察

前述のとおり機甲猟兵メロウリンクの前日譚にあたる外伝ではあるが、主人公が『メロウリンク』にも登場するキャラダインであるということと、バッテンタインからプランバンドール・スキャンダルに関わる話が出る、ということしか関わりがない(強いて言うなら、ベラックが脱獄したのが後に『メロウリンク』の舞台となるドッパー軍刑務所である、というのも該当するだろうか)。また、『メロウリンク』本編でプランバンドール・スキャンダルと関係していたPS計画も物語にほぼ関わりがない。

ストーリー的には『過去の因縁からやむを得ず敵と対峙するキャラダイン』が軸に据えられており、『メロウリンク』の劇中では終盤近くまで飄々としてかつ軽妙な大人の男として描写されていたキャラダインが、本作ではやや若干ハードボイルド感を増して描かれている。
反面、兄の抹殺を(これもまたやむを得ず)望むソミィの描写はやや淡白に感じられるし、敵役のベラックについてはその背景がプロローグと劇中の画で語られるのみではあるが、ただならぬ因縁と悲劇を想起させるに十分な描写である。

なぜベラック大尉は捨て駒にされたのか、について考えてみる


(作成中) 

感想〜キャラダイン濃度120%のサイドストーリー〜

分量としてはそれほど多くはないし、キャラダインの敵役となるベラックやその妹・ソミィもキャラクタ造形的にはそれほど濃くはないし、ボトムズ絡みの諸エピソードの中ではそれほど重みをもつ話でもないんだが、やはりキャラダインのクールな、というかニヒルなキャラクタがその分だけ全面的に押し出されてる感じ。めっさ端的に言うと

『キャラダインに萌えるためのエピソード』
『キャラダイン濃度120%の物語』

といった感じだろうか。

ボトムズ本編もさることながら『メロウリンク』も相当(もしかしたらボトムズ本編よりも)好きな自分だが、かねてからキーク・キャラダインという人にそこはかとない魅力を感じていた自分としては、これで一気にキャラダイン萌えに火がついてしまった感が。

(続く)

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