第4話『リーニングタワー』あらすじ
荒野をサイドカーで走るメロウリンクを、謎のトラックが襲撃する。彼は追いたてられ、斜塔のように突き刺さる宇宙戦艦の廃墟へと誘い込まれてしまう。
廃墟戦艦の中で姿見せぬ敵に追い詰められ、残弾もパイルバンカー用のカートリッジ1つのみとなったメロウリンク。だが数々の危機をくぐり抜けた彼の前に、意外にも情報将校のキークが姿を現す。キークは敵がゴルフィだとメロウリンクに伝え、共同戦線で切り抜けようと提案する。
舞台設定
荒野に斜めに突き刺さったケルビン級宇宙戦艦を舞台としている。おおよそ45度程度の傾きで、人が中で上り下りすることがとりとめて可能(ただし外見上は45度よりも急な角度で刺さっているように見える)。朽ちかけており、乗員の死体もミイラ化するにまかせたまま残されているが、電源は生きており、照明、エレベータ、強制排気機構、AT格納庫やシャトル発進口のハッチ、クレーンなどが動作する状態となっている。また艦内にはダストシュートが張り巡らされており、ゴルフィはダストシュート内を移動しながらメロウリンクを追い詰めていた。
刺さった戦艦のふもとには、戦艦を中心に廃墟化したと思しき街が広がっている。
解説
登場人物がメロウリンク、キーク、ゴルフィの三人のみで、大半が戦艦内の閉鎖空間もしくはその外部装甲上での戦闘、ATも人が乗った状態では登場しないという、やや特異なエピソードである。また、仇を追う側のメロウリンクが仇から先制される、珍しいエピソードでもある。
前半はキャラクタ同士の会話もなく、姿を見せず戦艦内の機構で罠にかけようとするゴルフィとの息詰まる攻防が繰り広げられる。キークがメロウリンクに加勢する後半では逆にゴルフィが追い詰められる側となるが、それでも緊迫感が薄まることはない。
舞台が「おおよそ斜め45度に傾いた戦艦」であるため、移動に不自由を強いられ、また高所から落下しかける描写も多い。登場人物やセリフの少なさも相まって、強い緊迫感が醸し出されている。
「機甲猟兵メロウリンク」のエピソード、いや、本編含むボトムズの関連作の中でも屈指の緊迫感をたたえたエピソードではなかろうか。
メロウリンクとキークは第1話以来の邂逅となるが、この時点からキークには何か裏がある、信用ならない人物であることを臭わせる描写が増えてゆく。