ワイズマンとペールゼンにより地獄に投げ込まれたキリコの運命は、
フィアナによって救い出されたと言ってもいい。
確かにリドでの『素体』との遭遇は、戦争に翻弄されつづけたキリコにとって、終戦後の新たな戦いのきっかけともなった。彼女と邂逅してしまった(実際は『させられてしまった』)が故に、彼は素体の所有者であったギルガメス軍、そして素体を奪取した
秘密結社?から追われる身となり、さらに秘密結社の手先となった素体自身からも襲われることとなってしまった。
しかし、幾度めかの素体との邂逅の末、彼らは運命的な結び付きを実感するようになる。キリコが無意識のうちに危機に陥った素体を『フィアナ』と呼んだのも運命的な結び付きのひとつの象徴であろう。
実際には、前述のとおり、フィアナとの出会いはワイズマンによって仕組まれたものであった。ワイズマンはキリコを愛や力への欲求を持つ『あたりまえの人間』に仕立てるため、フィアナとの出会いを手引きしていた。だがキリコは、ワイズマンの予想を超えて変貌していた。後継者の運命を定めようとしたワイズマンは、フィアナとの出会いにより運命をねじ曲げんとしたキリコの手により、その命脈を一度断たれることになった。
(編集中)