ボトムズ用語を独断と偏見と妄想で語るWiki - 孤影再び

概要

赫奕たる異端』の後日談であり、『幻影篇?』の前日談にあたる物語。メルキアにある自由交易都市グルフェー?での、キリコの再会と喪失を描く。
まず監督の高橋良輔氏による雑誌連載(2006〜2007)の小説として世に出たあと、幻影篇(2010年3〜10月にかけてリリース)の終了後にアニメーション化されている(2011年1月イベント上映、2011年4月発売)。
小説版とそれを原作としたアニメ版は、おおよそのあらすじこそ同じだが差違は大きい。
アニメ版の劇伴は、乾裕樹氏によるTV版の劇伴に加え、「炎のさだめ」「いつもあなたが」を歌唱するTETSUこと織田哲郎氏が手がけた新規楽曲が使用されており、エンディングテーマも織田哲郎氏がリアレンジした「いつもあなたが2011」が使用されている。

あらすじ

アニメ版あらすじ〜250機が相手だと?…舐めた真似を!〜

『あるもの』に寄り添うために彷徨っていたキリコ・キュービィーは、メルキア軌道上のステーションでバニラの娘と名乗るステビア?と遭遇し、彼女とともにパレギア大陸の砂漠にある自由交易都市・グルフェーを訪れる。
途中『黒い稲妻旅団?』を名乗るメルキア軍のAT部隊による襲撃を受けるもそれを退け、キリコはグルフェーに到着する。商人として成功し有力者となったバニラ?、バニラの妻にして三男三女の母になったココナ?、そして隠居しつつバニラたちを支え続けるゴウト?と再会する。
しかしグルフェーはギルガメス軍の黒い稲妻旅団?により包囲されており、いつ戦が始まってもおかしくない状態にあった。ギルカメスにもバララントにも与せず戦火を逃れてきたグルフェーとしては戦を避けたかったものの、砂漠で黒い稲妻旅団と交戦してしまった『触れ得ざる者』キリコ、そして(マーティアルの聖職者・ギャッシルマンに心酔する)ソルティオ?が取り寄せたAT、という二つの火種を抱えてしまっていた。

一方、『アレギュウムの赫い霍乱』でキリコに敗北したことにより(父のモンテウェルズ?が法皇をつとめる)マーティアルを追放された上に命を狙われる身となったテイタニア?もまた、キリコを陰ながら追いかけて旅をしていた。テイタニアは旅の途中退けたマーティアルの刺客から飛行機を奪うことになったが、そこに記録されていたデータからキリコの旅程が『あるもの』の軌道を追うものだったと知る。

キリコの滞在中、ついにグルフェーは黒い稲妻旅団の襲撃を受ける。陰謀をはかっていたギャッシルマンとの対峙の後、黒い稲妻旅団の250機のATとたった独りで戦い始めるキリコ。そこに、キリコを追い、自らを狙う刺客共々テイタニアがたどり着く。
夜を徹した壮絶な戦いの後、キリコが、テイタニアが荒野の暁の中で見たものは…

原作小説版あらすじ〜例外のあるところに尊厳はない〜

メルキアはパレギア大陸の中央にある自由交易都市・グルフェーを訪れるキリコ。到着直前でメルキア中央軍の『黒い稲妻旅団』の洗礼を受けるもののそれを退け、バニラ、ココナ、ゴウトと再会する。
マーティアルから庇護を受け戦火を逃れ続けていたはずのグルフェーは、『アレギュウムの赫い霍乱』によるマーティアルの汎銀河的権威の失墜からその庇護が揺さぶられ、危うい状態にあった。グレン・パッツラー中将の個人的野心から、彼の指揮下にある『黒い稲妻旅団』によりグルフェーへ通じる道路(グウルグゥール)は全て封鎖され、街には今にも戦が始まらんとする緊張と、戦をあてにした者たちに満ちていた。
またその緊張に乗じ、武闘派ギャッシルマンはマーティアルの教義を説き若者を焚き付けてグループ『赤い牡牛』を形成、黒い稲妻旅団への抵抗を煽っていた。悪いことに、バートラー家の次男・ソルティオもそれになびき、父に内緒でバニラ商会では御法度のATや武器弾薬類を発注していた。

マーティアルは、グルフェーの要請に従い『秩序の盾?テイタニア?をグルフェーに派遣する。ギャッシルマン率いる『赤い牡牛』もそれを歓迎、共闘の約束を取り付ける。

そんな中ソルティオの発注したATが到着するが、(それを知っていた、というか協力者のギャッシルマンを通じて仕掛けた)黒い稲妻旅団の指揮官クルトル・フランガー大佐により、グルフェーの五つの門を封鎖するようにATが配置されることになった。グルフェーに緊張が走るが、律法院の要請で派遣理由を問いただしに赴いたテイタニアがATを破ったことにより、グルフェーでは黒い稲妻旅団への抵抗の機運が高まる。

『赤い牡牛グループ』のギャッシルマンは、ある日(テイタニアに帯同しグルフェーを訪れていた)ロッチナと出会う。ロッチナからキリコが死なない存在『異能生存体』であると聞かされ、そのキリコを殺そうと画策する。キリコとギャッシルマンとの初戦はノーゲームに終わるが、今度はその報告を受けたフランガー大佐がキリコ抹殺への野望をかきたてられ、グルフェー律法院に対してキリコの身柄引き渡しを要求する。
キリコはやむを得ず、グルフェー郊外の砂漠で、黒い稲妻旅団の支援を受けたギャッシルマンと再び対峙。結果、ギャッシルマンは負けた上に黒い稲妻旅団に抹殺される。そしてキリコは旅団に捕まることなくグルフェーに帰還する。

訪れた者全てに庇護を与える律法は何としても死守したいグルフェー。バニラ(と彼が参加する『五つの薔薇』)は苦肉の策として、キリコを伴って黒い稲妻旅団の所属するパレギア統合軍本部へ訴えかけることを決めるが失敗。
グルフェー側の打つ手がなくなり、街の有力者や『赤い牡牛』メンバーなどの集まった会議も紛糾する中、キリコは街を出ると言い出す。街を出ればAT一個中隊250機が待ち構える。制止するバニラたちやテイタニアだが、キリコは実は『ある理由』からグルフェーを訪れていたのだった。

深夜、グルフェーを出たキリコを、黒い稲妻旅団が襲う。キリコとの直接対決を望むフランガー大佐も合流、テイタニアもキリコを追って加勢する。だがキリコは戦いの最中、意外な行動に出る…

登場人物

  • キリコ・キュービィー
    • 『あるもの』を見るためにグルフェーを訪れ、グルフェーと黒い稲妻旅団との間のいざこざに巻き込まれる
  • バニラ?
    • TV版終了後、グルフェーで商人として成功する。今では街の有力者。
  • ココナ?
    • バニラと結ばれ、三男三女をもうける。
    • 小説版ではテイタニアと会い、キリコを助けるように伝える、という重要な役柄をつとめる
  • ゴウト?
    • バニラとともにグルフェーで商いを始めて大成功
    • 今では御隠居だが、バニラやココナやその子供たちを精神的に支える柱となっている
  • テイタニア?
    • アニメ版ではマーティアルを追われ度々刺客を送り込まれつつキリコを追いかける
    • 小説版ではマーティアルの『秩序の盾』としてグルフェーと旅団の対立を解決するためグルフェーを訪れる
    • アニメ版、小説版ともに補助脳は装着していない。
  • ステビア?
    • バートラー家の長女。
    • アニメ版ではキリコをグルフェーまで引っ張ってきたりキリコにちょっと反発してみたりとかなり重要な役目を果たす
    • 逆に小説版ではあまり目立たない
  • ソルティオ?
    • バートラー家の次男。
    • アニメ版でも小説版でもただの跳ねっ返りの若造的に描写される
    • が、小説版ではバートラー家の子供の中では一番出番が多い。
  • チクロ
    • バートラー家の三女。末っ子。
  • ギャッシルマン
    • 封鎖下のグルフェーでマーティアルの教義にもとづき若者たちを煽る。
    • 実は黒い稲妻旅団の内通者。
    • アニメ版ではATフライでキリコに襲いかかる
      • アニメ版では『血の生贄は嘘を真へと化けさせる』がモットー
    • 小説版では歴戦のスナイパーとしてキリコに襲いかかる
      • 第四次銀河大戦下のオロムで954人目の敵を倒したときの経験からマーティアルに入るが、信仰心はない。自称『リアリスト』。
    • そして、アニメ版でも小説版でも割と情けない死に方をする。
  • ロサ・ガリガ
    • グルフェーの自治組織『五つの薔薇』のえらい人
★アニメ版でしか登場しない人物
  • 少年僧・少女僧
    • 伝書鳩で『秩序の盾』に救難を要請する
★小説版でしか登場しない人物
  • ロッチナ?
    • テイタニアに帯同しグルフェーを訪れる
    • ラスト近くでキリコがグルフェーを訪れた『真の目的』をつかむ
  • クルトル・フランガー大佐
    • 黒い稲妻旅団の司令官。黒い稲妻とはもともと彼の二つ名である
    • パッツラーの指示のもと、グルフェー獲得のためグルフェーを封鎖していたが、『触れ得ざる者』の毒にアテられてキリコと戦うことを望むように
  • グレン・パッツラー中将
    • グルフェーの利権を獲得するため配下の黒い稲妻旅団にグルフェー封鎖を指示する
    • 旅団のキャンプを訪れたときにはすごい勢いでビールを飲んでいた。
    • 恰幅がいいらしい。
  • キャナン・スカシイー上等兵
    • グルフェーの『岩の門』の封鎖を担当していた黒い稲妻旅団の隊員
    • 乗っていたATがテイタニアの『ポール・アックス』(対ATライフル用パイルバンカーの改良型)の餌食に
  • グレファローズ
    • バニラ邸のメイド頭。
  • マスター
    • キリコが一時身を寄せるカフェ兼安宿のマスター。
    • バニラと親交があり、グルフェーに移ってきたばかりのころはバニラの世話になっていた
    • 元兵士らしい
  • ボトムズ乗りたち
    • グルフェーに戦が始まると聞いてやってきた連中。ソルティオに雇われてATで黒い稲妻旅団と戦うつもりだった
    • が、キリコにシメられる。

小説版読書メモ

  • グルフェーはパレギア大陸(の中央部を占めるソムジー大砂漠)のほぼ中央に存在
  • グルフェーの歴史は千数百年に及ぶ
  • メルキアには統一政権のない群雄割拠の時代があったらい
  • グルフェーの庇護を確実にしたマーティアルの法王は『ボホー三世』。いつ頃の法王かは不明
  • バートラー家のメイド頭は『グレファローズ』というらしい。幻影篇6話冒頭で『ああ忙しい忙しい!』って走り回ってた人がこの人?
  • クルトル・フランガー大佐の参加してたギャオア戦って百年戦争のなんだろうか。それとも現行の戦争(第四次銀河大戦)なんだろうか
  • グルフェーの朝食は朝昼を兼ねている(いわゆるブランチである)そうな。『朝は遅い』ってあんまり見ない表現だよなwww
  • (当然といえば当然だが)アレギュウムの赫い霍乱については公式発表されてないとか
  • グルフェーと黒い稲妻旅団との間の緊張をかぎつけて傭兵(?)たちが集まってきているらしい
  • ソノバ議定書は門外不出の機密扱いだが秘密にしきれてない、という設定が。
  • 孤影では『赫奕』は『かくやく』でなく『かくえき』とルビが振ってある…だと…?!
  • ココナがウドでキリコと出会ったのは17歳のころ
  • キリコはバニラ邸を一晩で出た後カフェ兼安宿に泊まっていたとな
  • キリコがギャッシルマンの会合を覗きにきている。アニメ版だとどういう施設なのかわからんかったが小説版では岩をくり抜いて作ったビヤホール。
  • バートラー家、人物紹介ではバートラーなのに文中では『バトラー』。
    • ただ後でちゃんと(?)バートラーと表記されてるとこもあるのでただの誤植かなにか?
  • テイタニアは『20代前半』とされている
  • アストラギウス銀河にはシャンパンが存在する。ということはアストラギウス銀河にもシャンパーニュという名前の場所がある…?
  • 秩序の盾は『宗門同士の紛争を武を以て解決する』ための存在
  • オロムではジンが作られているらしい
  • ワイズマンはマーティアルにとっても、信仰の外側にある神だったらしい
  • ソルティオの発注したATは小説版だとキリコの到着から一週間以上あとに到着
  • RC液という新アイテムキター。しかしあんまり詳しい説明はなし。
    • 小説ではPRLが常温で空気に触れただけでもヤバい液として描写されてるので、PRL抜き取り作業が安全にできるようにする不活性化剤みたいなもんなんだろうか
      • その後で『安定剤』であるという記述が。
  • グルフェーに現れた黒い稲妻旅団のATと対峙(対話?)するテイタニアの装備が『対ATライフル用パイルバンカーの改良型』(HR-SAT-PAMC/ポール・アックス)とかヤバい
  • キリコがペールゼンに対して言った『例のセリフ』は、小説版孤影では『俺は神といえども従わない』とされている
  • ギャッシルマンは第四次大戦中のオロムでスナイパーをやっていたらしい。
  • そしてギャッシルマン、アニメ版ではいってても40くらいっぽい感じだったが小説版では意外とトシなんだな…オロムでスナイパーやってたのが二十数年前だから、50は超えてるか。そりゃ枢機卿の選挙に出るくらいだしな…
  • フランガー大佐の『ギャッシルマンがキリコを撃たなかったのはキリコの異能生存体としての環境変化能力により環境を支配され「撃てなかった」のだ』という説明がいかにもな感じでいいな
  • 赤い牡牛の強訴騒動を『ノセといて強引にねじ曲げる』バニラとガリガwww
  • キリコを追っ払うようなかたちになってしまったバニラとゴウトのやりとりがなんかものすごく泣ける…
  • 補助脳を装着しない自分をテイタニアは『私はネクスタントではない』としているが、やはり補助脳がネクスタントの絶対条件なのか。ほぼ全身が機械に置き換わっていても、『信仰を護る黄金の脳髄』がなければネクスタントではない的な?
  • ペールゼンの最終的な階級て准将だったんか…